蛍の光

1 螢の光、窓の雪、書読む月日、重ねつゝ、何時しか年も、すぎの戸を、開けてぞ今朝は、別れ行く。
2 止まるも行くも、限りとて、互に思ふ、千萬の、心の端を、一言に、幸くと許り、歌うなり。
筑紫の極み、陸の奥、海山遠く、隔つとも、その眞心は、隔て無く、一つに尽くせ、國の為。
千島の奥も、沖繩も、八洲の内の、護りなり、至らん國に、勲しく、努めよ我が背、恙無く。

卒業式や大晦日のNHK紅白歌合戦の最後に歌われる「蛍の光」。この「蛍の光」は別れの歌ではなく、「遠く離れ離れになっても、それがたとえ辺境の地であろうとも、国のために心をひとつにして元気にそれぞれの役割を果たそう」とした歌とのこと。

3番には、当時本土とされた筑紫(九州地方)、陸の奥(東北地方)が、4番には、当時外地であった千島の奥(択捉・国後・色丹などの島々)、沖縄(沖縄諸島)という言葉が入っている。3番と4番は、第二次世界大戦後、国家主義的とも取れる歌詞が敬遠され、また、日本固有の領土である千島や沖縄が他国の占領下におかれたという事情もあり、教育現場への指導により歌われなくなったという。意味もわからず歌っていた歌も、歌詞をじっくり見ると奥が深い。近代日本の領土史といったところか。

ちなみに、商業施設などの閉館や閉館直前のBGMとして流されているのは「蛍の光」(4拍子)ではなく、古関裕而さん編曲の「別れのワルツ」(3拍子)なんだとか。知らなかった(・・;)

コメントは受け付けていません。