野村克也解体新書

性格は、生まれつきの部分と、その後の環境によって作られる部分がある。

楽天イーグルス 野村克也名誉監督は、三歳のとき父親を戦争で亡し、父に代わって一家を支えるはずの母親は癌を患い、貧乏な生活を送る。プロ野球にはカベ(ブルペンキャッチャー)としてテスト生として入団。1年目で戦力外通告を受けるが、正捕手~3番手捕手が怪我などをしたため残留。3年目でレギュラーに定着。安定した活躍をし、三冠王を取るが、監督の鶴岡一人には褒めてももらえず。スーパースター長嶋茂雄、王貞治を「ヒマワリ」、自らを「月見草」と例えた。

今回お勧めの一冊は、『野村克也解体新書~ノムさんは本当にスゴイのか?~』(江本猛紀著:無双舎)。

江本猛紀氏は、社会人から東映フライヤーズに入団。一勝も出来ないまま、入団2年目に南海ホークスの捕手兼監督の野村克也氏にトレードで迎え入れられ、阪神タイガース移籍後も含め、8年連続し10勝以上し、「野村再生工場第一号」と言われた。

本誌では、「ひがみ根性や冷たさ、いじめがきらい」、「野村監督はエリートが嫌いなくせに、きんぴかの指輪や時計、スーツ好き」とこきおろす。南海時代にも「ノムさんのリードのせいで打たれた」とベンチでノムさんをヤジったエピソードを持つ江本猛紀氏らしい歯に衣着せぬ内容となっている。野村克也氏のおかげで成功を収めた江本猛紀氏は、今でも野村克也氏を師と仰いでいるからこそ書けるのである。

野村克也氏によってリリーフ投手のパイオニアとして活躍した江夏豊氏との対談も掲載されており、見どころ満載。あっという間に読みきれる一冊です。

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